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第12回造作工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社小倉工務店、更新担当の中西です。

 

さて今回は、

~設計~

ということで、造作工事における設計の目的・設計手法・注意点・設計者と施工者の連携ポイントまで、現場と図面の両面から深掘りしてご紹介♪

 

建築工事における「造作」とは、完成した構造体に対して内装を仕上げるための木工・建具・家具などの工事を指します。そして、その造作部分を設計段階でどう描くかは、空間全体の印象や使い勝手、美しさを大きく左右する非常に重要な要素です。


造作工事の設計とは?|その役割と範囲


造作工事における設計とは、空間の使用性や美観を形づくる“細部設計”のことです。
構造体や間取りといった「大きな設計」に対し、造作設計は「暮らしや使い方を形にする設計」です。

✅ 造作設計で扱う代表例

  • 建具枠(ドア・障子・引戸など)の詳細設計

  • カウンター、棚、造作収納の寸法・素材・固定方法

  • 笠木、廻り縁、巾木、見切り材などの意匠部材

  • 階段手すり、ニッチ、テレビ台、ベンチなどの機能造作

  • 空間に合わせた“オーダーメイド家具”や“壁面一体型収納”など

🧱 単なる内装部材ではなく、「建築の一部としてデザインされた機能物」であるのが造作設計の特徴です。


造作設計における重要な設計要素【5つの柱】


✅ 1. 寸法計画|空間と人の関係を読み取る

  • 使用者の体格、動作範囲、隣接家具との関係を考慮

  • 例)キッチンのカウンター高さ → 使用者の肘下高さ −10cm

  • 奥行・高さ・棚の間隔など、使いやすさ=寸法の正確さ

📐 建築寸法の「910モジュール」だけでなく、人体寸法(アーゴノミクス)との両立が必要です。


✅ 2. 材料・仕上げの選定|美観と機能の両立

  • 無垢材/突板/メラミン/ポリ合板/スチール/アクリル等

  • 耐水性、耐熱性、傷つきにくさ、メンテナンス性も考慮

  • 住宅では温もり、商業施設では清掃性・意匠性が求められる

🎨 材料の選定ひとつで、空間の印象がガラッと変わる=デザインの要です。


✅ 3. 納まり設計|異なる素材をどうつなぐか

  • 床と壁、壁と天井、木部とクロス、造作と建具の取り合いを図面で明確に

  • クリアランス(隙間)や伸縮の逃げを考慮する

  • コーナー部分・端部の納め方(見切り材 or 面取り)で仕上がりが変わる

🧩 デザインの美しさは「納まりの美しさ」で決まります。施工者との連携が特に重要です。


✅ 4. 施工性の配慮|現場で“造れる”図面か?

  • 加工のしやすさ、材料の搬入経路、重さ・強度を踏まえて設計

  • 天井・壁の傾きや誤差を見越した調整幅(逃げ寸法)を盛り込む

  • 図面上の寸法が現場で実現可能かを確認

🛠️ 「デザイン先行すぎて施工できない」は、設計ミスではなく設計責任です。


✅ 5. 将来性とメンテナンス性

  • 可動棚や扉の交換部品が後から手に入る設計に

  • 壁内に隠れる金具は点検口・メンテナンスルートの確保が必要

  • 水まわりや荷重のかかる箇所は耐久性・防水性を考慮

🔧 一時の美しさよりも、「10年後の使いやすさ」が設計の真価を問われます。


造作設計でよくある“見落とし”ポイント


⚠️ 建具・サッシとの納まり不整合

  • 例:引き戸の建具枠と造作収納が干渉

  • 縦枠の厚みや建具の開閉範囲を図面上で見落としがち


⚠️ 電気・設備配線との衝突

  • カウンター裏に配線スペースなし

  • 埋め込み照明と木下地の位置が干渉


⚠️ 材料の反り・伸縮を考慮していない

  • 無垢材での造作→湿気で反り、扉が閉まらない

  • 合板でもジョイント部のクリアランス不足

📌「図面では完璧」でも、現実の“木のクセ”や現場環境まで想定する設計力が問われます。


施工者との連携で設計を“実現する”


造作設計は、図面だけで完結しません。現場と連携して初めて形になります。

🔄 設計者と施工者の連携ポイント

  • 着工前に現場採寸・実測による設計再調整

  • 図面に反映されない加工方法・固定方法の相談

  • 現場からのフィードバックを設計に還元するPDCA

👷‍♂️ 現場の職人と「納まりの言語」を共有できる設計者こそ、信頼されます。


造作設計は“空間を形にする最後のひと仕事”


構造体ができあがり、設備も整い、最後に空間を形作るのが造作工事です。
その設計において大切なのは

✅ 人の動きと寸法への配慮
✅ 材料の特性と美観のバランス
✅ 現場で施工できる現実的な納まり
✅ 仕上げのための下地としての正確さ
✅ 長く使えるための耐久設計

図面1枚に空間の使いやすさと美しさを込める
それが、造作設計者の使命であり、職人との信頼関係を築く第一歩でもあります。

 

 

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